基山クラスタ的イナアレ考察 〜シュレディンガーの基山〜

気づけば大復活祭から一週間が経ち、興奮も落ち着き……いや落ち着かないですね。ツイッターもタイムラインが連日大賑わいで、いよいよもってイナズマイレブンの復活が近づいてきたことを実感します。

さてさて、復活祭で公開されたReloadedおよびアレスの1話2話、これまでのシリーズとは違い、ビジュアル面がかなりスタイリッシュになってましたね。それでいて、日野社長が言うように違和感なく受け入れられる変化であり、Reloadedが上映された瞬間には「”あの雷門イレブン"が帰ってきた」なんてあらためて実感し、歯をくいしばって我慢したけど泣いちまったでもみんなが肩をたたいてくれてマジで感謝。はい。

復活祭では、オタク的には本当にいろんな燃料を供給されて考察が捗ってしまいますね。とくに基山クラスタにとってはあのイラスト(一応ネタバレ留意)がかなり衝撃的でした。これを受けて基山クラスタは想像が大いに膨らみ、タイムラインには彼の精神世界や今後の周りと関わりについてたくさん呟きが流れてきてマジで感謝(シャンランランラ)。そこでこの機会に便乗して自分も考察を載せようと(照)。基山の内面のことはみんながもういっぱい考察を呟いてくれてるので、理系の大学生っぽく科学的なトピックで(ただし科学的な考察とは言っていない)、ちょっと俯瞰した視点から思ったことを書きます。つきまして、ここから先はただの個人的な考察なのと、復活祭での情報を含みますのでご留意願います。ではでは。

 

シュレディンガーの基山

シュレディンガーの猫は、射影公準における収縮がどの段階で起きるのかが明確でないことによって引き起こされる矛盾を示すことを狙いとした思考実験のことである。

かの有名なシュレディンガーの猫。聞いたことがある人も多いと思います。本来の意味やこの思考実験自体の解釈は置いておいて、超簡単にそして大袈裟に言うならば、「50%の確率で毒ガスが出る箱の中に猫を閉じ込めたとして、箱を開けて中を確認するまで猫が生きているのか死んでいるのかは解らない=つまりそれって生きている状態と死んでいる状態が重なりあっていると見なせるの?だとしたらそれってどういうこと?」というようなものです(この説明に対する科学的な批判はご勘弁を…)。

 

で、で、で、言いたいことというのは「あれ、これ似たようなことが基山にも起こってるんじゃねえの」って話なんですよ。以下説明します。

周知の通り、アレスの天秤は雷門イレブンがフットボールフロンティアで優勝した後に分岐するパラレルワールドが舞台となっています。つまり、27話で脅威の侵略者編に進むと基山(ここから"基山"とだけ表記した時にはヒロトとタツヤの区別はしていないと思ってください)は基山ヒロトととして登場し、一方Reloadedおよびアレスの天秤の世界に進むと基山は基山タツヤとして登場します。大事なのは、この二つの物語が全くの別物ではなく、27話から分岐する二つの物語であるということなんです(復活祭でもそういうルートを表す図が出てきましたね)。本題に入ります。分岐する物語であるということは、基山にとって非常に重要なそして残酷な意味を持ちます。それは、1〜26話、いやそれ以前の過去において、基山という存在は潜在的基山ヒロトと基山タツヤが重なり合った状態にあるということになんです。もうこれは完全にシュレディンガーの基山だよ……。そしてこれは言い換えると、どちらの世界に進むかが決まることによって初めて、基山がヒロト・タツヤのどちらとして生きてきたのか確定することになります。27話に進んで初めて基山の過去が確定するのです。これは裏を返した時にもっと不思議なことを意味します。それは、どちらの世界に進むにせよ、基山ヒロトあるいは基山タツヤは、27話になった瞬間に突如、相応の過去をもった実態として、あたかもずっとそこに存在していたかのように現れるという事態を引き起こします。この現象が不自然なことに気づくでしょうか。というのも、当初のアニメ1~26話において基山は登場していません。ですが当然のことながら、円堂たちと同じ世界のなかで基山は存在していました(基山ヒロトを含めたお日さま園のみんなの過去シーンは無印アニメにも登場しますね)。それなのに、「アレスが無印から分岐した世界である」そして「アレスの世界では吉良ヒロトは生きている」というこの二つの設定によって、無印でこれまで決まっていた27話より前の基山ヒロトの過去も、アレスの世界でタツヤとして歩んできた過去も、おろか彼らの存在自体が、全て存在しないものになってしまったのです。彼の存在はもとより、彼の過去というのはヒロト・タツヤどちらにおいても、その人格形成に多大な影響を及ぼし物語に大きく関わってくる(くるであろう)ものです。これは基山のアイデンティティーを脅かしかねません。そして最も基山クラスタを悩ませるのが、どちらかの存在が確定するということは、もう一方の存在は完全に無かったことになるという当たり前の帰結なんです。……は?ヒロト……ヒロトはどこへ……。ヒロトはどこにいるんですかいま!!!!探してます!!ヒロトはどこに……(錯乱)。不遇な境遇を背負った子たちがたくさん出てくるイナイレにおいても屈指の過去を背負う基山が、この期に及んでとんでもない爆弾を背負わされていることに気づいた時には「日野……許さんぞ……日野ォオオオオオ」と心が暗黒面に落ちダークエンペラーズになりかけてしまった……(ただしもみあげは曲がっていない)。これは余談ですが、復活祭で基山タツヤと吉良ヒロトが幼少期に邂逅していたようなことを示唆するイラストがあったんですけど、以上の考察に至ってからはあれが無印で基山ヒロトとして生きてきた過去を暗に否定するイラストに思えて本当に涙が止まらんのですよ……。日野……日野ォオオオ。

とまあ、ここまで考察もとい嘆きを書きなぐったわけなんですけど、それでもやっぱりアレスに期待するしかねぇのが悲しいイナイレオタクの性。オタクはいつも日野の手の中で死ぬまで踊らされるのですよ……。そのうえで、アレスの基山タツヤが無印では基山ヒロトであったという"アニメの外の事実"がファンにとって、そして基山本人にとって、意味のあるものになるといいなと願っているわけです。加えて、「こまけぇこたぁいいんだよ(AA略)」と言わんばかりの超次元展開で幕を開けた無印27話以降とまた少し違って、凄く緻密に設定が練られ、理由付けが行われているReloadedおよびアレスの世界では、このへんのメタ的な視点に対するアンサーが何か出てくるといいなと淡い期待をもって4月を待っています。イナイレに魅せられてしまったオタクもまた登場人物と同じようにいろんなもの背負わされて、でも、だからこそ、イナズマイレブンはこれだけ感情移入できる素敵なアニメになっているのかなと、前向きに捉えつつ、オタクは今日も基山の行方を追い続けます!!!!!!!!!